2010年10月20日
株式会社日立マクセル(スリオンテック事業本部)(代表取締役社長:松浦 武志)は、世界で初めて*1薄膜シリコーンゴムを基材に使用したオールシリコーン素材の両面粘着テープを開発し、6月下旬よりサンプル出荷を開始します。全てシリコーン素材で構成されているため、優れた耐熱性*2と幅広い温度範囲での安定したクッション性*3を達成しました。本製品は、耐熱キャリアテープや耐熱スペーサー、耐熱クッション材などへ応用展開を進めていきます。
近年、シリコーンゴムを薄膜長尺化する技術が進んでいますが、シート状になったシリコーンゴムは伸縮性が大きいため加工しにくいほか、変色性やシリコーンゴムに対する密着不足といった粘着剤の問題があったため、シリコーンゴムを基材とした粘着テープの製造は困難でした。したがって、通常、シリコーンゴムの粘着化は専用の両面粘着テープとの貼り合わせにより行われますが、両面粘着テープにフィルム基材が用いられているため、耐熱性や耐久性、透明性などのシリコーン素材の持つ、優れた性能を十分に発揮できませんでした。
今回、日立マクセル(スリオンテック事業本部)では、厚さが均一な薄膜長尺形態でテープ加工に適したシリコーンゴムシートを開発するとともに、変色性や密着性を大きく改善するシリコーン系の粘着剤を新たに開発したことにより、世界で初めて、薄膜シリコーンゴムを基材に使用した両面粘着テープを実現しました。
今回開発した製品は、厚さ100μm(マイクロメートル)の薄膜シリコーンゴムにシリコーン系粘着剤層を直接付けた両面粘着テープです。全てシリコーン素材で構成されているため、-40℃~200℃の温度範囲で安定したクッション性を維持しているほか、耐久性*4、耐候性*5にも優れています。
また、粘着テープであるため、これまで部品などへ貼り付ける際に使用していたシリコーン系の接着剤やシリコーンゴム専用の両面テープを使用することなく、簡単に貼り付けることが可能になります。さらに、全光線透過率92%*6と透明度も高く、透明性が要求される箇所への使用にも適しています。
本製品は、オールシリコーンとしての特長および粘着テープとしての特長を最大限に活かし、今後、幅広く応用展開を進めていきます。本製品を電子部品製造時に使用する耐熱キャリアテープとして用いた場合、クッション性が高いため、電子部品を傷つけにくく歩留りの向上などが期待されるほか、これまでシリコーンゴムが使用されてきた精密機器などの耐熱スペーサーや耐熱クッション材の代替として用いれば、接着剤塗布工程や専用粘着テープの貼り合わせ工程を削減できます。この他、透明性が要求されるガラスやアクリルの接着・固定などへの応用も検討していきます。
なお、今回開発したNo.5710(両面粘着テープ)およびNo.6710(片面粘着テープ)は、2010年6月9日~11日に台湾で開催される 「ディスプレイ台湾(No.B-407)」に出展する予定です。
日立マクセル(スリオンテック事業本部)では、エレクトロニクス/半導体/自動車を強化3分野と位置づけており、このオールシリコーンゴム粘着テープは、エレクトロニクス分野の中核製品として拡販・強化していきます。
オールシリコーンゴム両面粘着テープ
No.5710
No.5710のテープ断面図
項目 | 測定値*8 | 試験方法 | |
---|---|---|---|
テープ厚(mm)*9 | 0.20 | JIS Z 0237 | |
粘着特性*9 | 粘着力(N/10mm) | 5.50 | JIS Z 1528 |
タック (ボールNo) | 34 | JIS Z 0237 | |
保持力(ズレmm) | <0 | ||
機械特性 | ゴム硬度(度) | 70 | JIS K 7127 |
破断強度(N) | 9.8 | ||
破断伸び(%) | 240 | ||
電気特性 | 表面抵抗(Ω) | 3.5×1014 | JIS K 6271 |
体積抵抗(Ω・cm) | 2.3×1014 | ||
絶縁破壊電圧(kV) | 6.0 | JIS C 2110 |
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